1/17

はやくに目が覚め、薬とサプリメントを飲んでからもうひと眠り…と思いながら食器棚に手を伸ばすと、ごろりと重たい音がした。恋人が大事にしていたマグカップが地面に転がり落ち、取っ手が割れた。ぼんやりした頭のまま破片を片付け、ベッドにもぐりこむ。

 

二度寝から目覚めてもベッドから出ないままでいた。彼はソファで漫画を読んでいた。

意を決して布団から離れ、食器洗いや掃除機がけ、洗濯を済ます。その間にマグカップを割ったことを彼に詫びると、「気を付けてね」と背を向けたまま言い放ち、ずっとソファに座り込んだまま。ふつふつと湧き出す怒り。どうしてそんなに怒るんだろう、機嫌を悪くするんだろう、なぜ家事をして働きまわる私を無視までするんだろうと頭に血が上ったけれど、私は後ろめたさから、彼の感情を過剰に読み取りすぎて一人勝手に怒っていただけだったのではとも思う。

 

テレビ番組を見ながら10割蕎麦を食べ、酒屋さんとスーパーで買い物をして帰宅。帰宅後、家事をしていたら午前の怒りを根本から解消しなくてはと思い、彼に問いただすと全く責めるつもりなんてなく、ただ漫画を読んでいただけだとのこと。やはり私の暴走だった。こういう感情の暴走は良い年齢になって大人げない。